コンブの産地 北海道のガイドが最高品質のコンブをご紹介します!
こんにちは。もと公立高校の英語教諭で、現在は英語通訳ガイドで生計をたてているゆういち(@lifeasaguide93)です。
ゲストから良く聞かれる「うま味」についての記事を先日書きましたが、うま味の話をすると出汁、そして出汁の材料となる昆布(コンブ)の話をせずにはいられないのが、北海道ガイドのプライドです。
今回は北海道が誇る良質の昆布についてご紹介します。日本の有名和食レストランの全てが、北海道の高品質昆布を使っていると言っても言い過ぎではありません。
それくらい北海道の昆布はすごいんです!素人でも素晴らしい出汁を取る方法等もご紹介しますので是非、試してみて下さい!
うま味については以下を見てみて下さい。ガイドとしての復習タイムです。
昆布とは?
昆布とは何でしょう。答えは、昆布(こんぶ)ですよね。それくらい我々日本人としては昆布は身近なものと知られており、私の常識の中では昆布を知らない日本人は存在しません。
しかしながら、昆布と言って思いつくことには限りがあります。例えば、誰もが昆布は海藻と認識しているでしょう。
今回の記事ではもっと掘り下げたガイドだからできる昆布の話をご紹介します。
食用に適した昆布は世界中に全部で約50種程度といわれ、日本に分布する食用に適すると言われる昆布は全部で14種類です。
日本の収穫可能地域は北海道沿岸部全域と東北地方の青森県、岩手県、宮城県の3県に限られ、その内、約90%の昆布は北海道全域で収穫されます。(北海道:29,000トン、東北三県合算:2,000トン)
昆布は胞子によって繁殖し海の浅いところに育ちます。昆布の根は岩に固着するためのもので、養分を吸収するためのものではありません。
昆布は、温度・照度・栄養塩類の濃度・海水の流れなど、生育する場の環境条件によって成長度合いが大きく左右されると言われますが、おおよそ1日に2cm~10cm育つとされいます。
昆布漁の季節は7月中旬から9月中旬頃までで、昆布が1日で干し上がるような天気の良い日にだけに限られます。
昆布の知名度は、2013年の和食の世界無形文化遺産登録と共に世界中に広がりました。
現在、こんぶは「KONBU」という英語で伝わるほど、世界的に注目される食材になっています。
日本の昆布史
日本における昆布の歴史はとても古く、一般的には、北海道のアイヌ民族がコンブと呼ばれた海藻を食用としていたものが、中国に入り、その後、縄文時代の末期に日本に逆輸入されたのが始まりとされています。
アイヌ民族が昆布を「コンブ」と呼ぶ名づけ親だったのは驚きですね。
鎌倉中期以降になると、昆布の交易船が昆布の産地である北海道の松前港と本州の間を、盛んに行き交うようになり、庶民の間にも昆布が普及しました。
海上交通がさかんになった江戸時代には、北前船を使い、下関から瀬戸内海を通る西廻り航路で、直接、商業の中心地である「天下の台所」大阪まで運ばれるようになりました。
当時、昆布を運んだ航路は「コンブの道」と呼ばれ、コンブの道は江戸、九州、琉球王国(沖縄県)、中国へとのびていきました。
特に、当時の薩摩藩(鹿児島県)は中国への昆布貿易の中継地として、重要な役割を果たし巨額な富を得たとされています。
幕末に薩摩藩が昆布で得た資金で軍事調達を進め、最終的には討幕を達成したというのは有名な話です。
昆布(北海道昆布)の種類と用途
日本で収穫できる14種類の昆布のうち、その約90%を占める北海道昆布についてご紹介させていただきます。
北海道昆布は昆布の名前そのものがブランドとなっており、大きく分けて以下となります。
1. 真昆布
2. 羅臼昆布
3. 利尻昆布
4. 日高昆布
5. その他(がごめ、ながこんぶ、あつばこんぶ等)
昆布の用途はその種類によって違ってきます。例えば、旨味成分を多く含む昆布は出汁用に適しており、 繊維質が少ない柔らかい昆布は、煮上がりが早く煮て食べるのに適します。
一般的に、繊維質が多く煮上がりに時間がかかる昆布の方が旨味成分を多く含んでいると言われ、価格も上がります。
一方で、繊維質が少なく煮て食べやすい昆布の方が旨味成分が少なく価格も下がります。
それでは昆布ごとに特徴を見ていきましょう。
真昆布(山だし昆布)
真昆布は世界中の昆布の中でも最高級品種とされており、函館沿岸(鹿部産が特に最高品質)で収穫される昆布の事を指します。
真昆布の特徴は昆布に厚みがあり幅が広く、上品な甘味をあり、繊細で澄んだ出汁がとれるとされています。
噛めば噛むほど特有の甘味と味が出てくると言われる真昆布ですが、繊維質が多く煮上がるのにとても時間がかかります。
真昆布は、関西地方で「山だし昆布)とも呼ばれ、出汁をとる昆布として一番使用されています。特に大阪ではよく使われています。
出汁用に使用されることが多い真昆布ですが、おぼろ昆布、とろろこんぶ、塩昆布にも加工も加工されています。
真昆布は道南地区内でも収穫される場所によって品質と価値が異なると言われています。価値と品質は、白口浜(しろくちはま)、黒口浜(くろくちはま)、本場折(ほんばおり)の順となり、ランク外の場違折(ばちがいおり)は出汁には 不向きで主に加工用に使われています。
真昆布は主にだし昆布として利用されますが、身に厚みがあるため、佃煮、塩昆布などにも適します。魚の昆布締め、炊き込みご飯の具として用いるのもお勧めです。
羅臼昆布(えながおにこんぶ)
羅臼(らうす)昆布は、北海道の北東に位置する知床半島の羅臼町(らうすちょう)で収穫される昆布で、こくのある最高級だしがとれるとされています。
昆布の王様 と呼ばれるほど、味は濃く、香りの高い、黄色みがかった出汁がでます。
真昆布や 利尻昆布に比べると繊維質が少ない柔らかい昆布で、「えながおにこんぶ」とも呼ばれています。
羅臼昆布は、黒口(くろくち)、赤口(あかくち)、シマの3種類に区別され、。 黒口は昆布の色が黒く、赤口は赤褐色です。シマは葉の中央部分に 縞がはいっているように見える昆布です。
品質と価格順に並べると、黒口、赤口、そしてシマとなります。
主な用途としては、出汁昆布として利用されます。
出汁に色が つく点や味が濃すぎるという点で敬遠する人もいる昆布ですが、その出汁のコクは素晴らしいので、煮物、色のついた汁物に使うのもお勧めです。
おやつ昆布、佃煮などにも加工されます。
利尻昆布
利尻昆布は、利尻礼文サロベツ国立公園の一部となる、北海道の北に位置する離島である利尻島、隣の礼文島、そして稚内市の沿岸で収穫される昆布のことを指します。
最高級品とされる真昆布に比べてると食感はやや固めです。利尻昆布からは透明で風味の良い高級だしがとれるとされ、特に京都の会席料理などに用いられます。
利尻昆布の出汁は真昆布より幾分塩味がかかっていると言われます。 利尻昆布は京都では最も支持されている昆布で、出汁をとる昆布としてだけでなく、 千枚漬にも使われています。
礼文島産の利尻昆布は最も香りが良いとされ、稚内産の利尻昆布は 若干だしに色がつくことがあるため、品質と価格的には礼文島産、利尻島産、稚内産 の順番になります。
出汁以外の用途としては、京風料理(透明な出汁を用いるもの全般]、湯豆腐、しゃぶしゃぶ等鍋物にもお勧めです。
日高昆布(三石昆布)
北海道の中心部から最南端までにかけてそびえる日高山脈の最先端、つまりは北海道の最南端に位置する日高沿岸沿岸部で育つ昆布が日高昆布と呼ばれます。
日高昆布は三石昆布とも呼ばれ、昆布の特徴は濃い緑に黒味を帯びていると言われています。
繊維質が少なく柔らかいので 煮上がりが早く、昆布巻、佃煮、おでんなどの煮て食べる昆布に適しています。
真昆布、 利尻昆布、羅臼昆布に比べると出汁の甘みは少ないのですが、煮て食べる昆布、そして出汁をとる昆布としての 両方の用途に使うことができます。
日高昆布の品質は昆布が生育する浜によって異なり、上から特上浜、上浜、中浜、並浜の順番でランク付けされています。
がごめ昆布
がごめ昆布は北海道の函館沿岸沿いのみに生息し粘りが強く、とろろ成分が多いと言われています。主な用途としてとろろ昆布、おぼろ昆布、松前漬けなどが挙げられます。
松前漬けとは?
松前漬けとは、北海道の南部(道南)の郷土料理です。当時の北海道の交易の拠点であ
った松前藩が、安価な食品であった数の子とスルメ、そして地元のがごめ昆布を刻んだものを塩で漬け込んだものが松前漬けの発祥だったとされています。
現在では、ニシンに不漁に伴う数の子価格の高騰のため、従来よりスルメと昆布の割合が数の子に対して増しているとされています。
元来は数の子、スルメ、がごめ昆布で漬けられる松前漬けですが、近年ではカニ、ホタテと和えたものも登場しています。
釧路、根室沿岸の長昆布(ながこんぶ)、厚葉昆布(あつばこんぶ)
長昆布は釧路から根室にかけての道東地区で採取される昆布で、その名前の通り全長が6メートルから15メートル程まで育ちます。
北海道では最も生産量が多い昆布で、繊維質が少なく柔らかいため、 昆布巻、佃煮、おでん等、煮て食べる料理に用いられる昆布です。
厚葉昆布は長昆布よりも沖の深い場所で育つ昆布で、長昆布同様、昆布巻、佃煮、おでん昆布等、煮て食べる昆布として使用されています。
天然昆布と養殖昆布の違い
【2019年 6月ゲストと昆布養殖場を見学】
昆布の養殖は昆布の安定供給を目的に行われています。しかしながら、昆布の養殖は
天然物に比べ手間や費用がかかる上、品質も天然物に比べ劣り価格も低くなるため難しいものとされています。
現在は、採算面の理由により北海道の真昆布、利尻昆布、羅臼昆布といった高級昆布の 産地だけで養殖は行われています。
養殖方法として一般的なのが、昆布を2年間かけて育てる「養殖」です。浮きとロープで養殖漁場をつくり、自然の力でロープに芽胞体を着生させることから始まります。
ロープに着生した1年目の昆布を秋口に間引き、ロープに均等に昆布が着生するように整えます。そして昆布の成長を待ち2年目の夏に収穫するという方法です。
もう一つの養殖方法として昆布を1年間で収穫する「促成」があります。これは人工受精させた昆布の芽胞体を培養液の中に入れ短期間で成長させ、秋の終わりに海に入れ翌夏まで成長を待ち収穫するという方法です。
道南の真昆布にはこの方法が使われています。
昆布の乾燥と熟成
昆布の乾燥には天日干しがとても重要です。昆布は天気の良い日を狙って水揚げされ、その後干場で乾燥させられます。
乾燥具合いを平均にするために昆布を裏返す作業がありますが、裏返す作業が多ければ多いほど昆布がまんべんなく乾燥するため良いとされます。
この乾燥の状態が昆布の品質に大きく影響を与えます。乾燥が不十分であると表面に白い粉がふき出て、これが出ると昆布の審査で一等になることができません。
昆布漁はまさに自然との闘いです。天気を読み違え、漁の後に雨が降ってしまえば天日干しを諦めざるを得ません。
その場合は乾燥機にかけますが、時間も燃料もかさみ品質も天日干しとは比べものにならないくらい悪いとされています。
雨の場合、海水に昆布を入れて保存しておけば良いのでは?
と思う方も多いでしょう。しかしながら、そうすると海水中のシオムシが昆布を食べて穴をあけてしまうため商品にならなくなってしまうそうです。
最高級の昆布にかなり高額な値がつけられるのは、こうした漁師たちの苦労と努力、そして時には運によっても左右される昆布の品質に由来しているのです。
また最高品質の昆布は、乾燥の後に専用の蔵で1年から3年の間寝かされることがあります。
こうすることにより、昆布特有の磯臭さが取り除かれ、うま味が増した「蔵囲昆布」として出荷されます。
蔵囲昆布のほとんどが京都をはじめとする全国の高級料亭へ出汁昆布として出荷されていくのです。
体にとにかくよい昆布
昆布は栄養学的にみて身体に大変良い食材とされています。昆布はアルカリ性食品でアルカリ性食品の中ではトップクラスです。
現代の食生活では肉や加工食品を摂取する機会がどうしても増えているため、身体が酸性に傾きがちです。
アルカリ性の昆布を摂取し、身体の状態として良いとされる弱アルカリ性をキープしましょう!
昆布を定期的に摂取すると以下のような効用があるとされています。
1. 高血圧予防
2. ガン予防
3. その他の生活習慣病予防
4. 骨の強化
5. 胃腸の働きを促進
6. 老化防止
7. 肥満防止
8. 糖尿病予防
9. 髪を強くする
昆布って素晴らしいですよね!!!
日本人が欧米人に比べると肥満が少なく長生きするのは、我々が普段の食生活の中で無意識に昆布を摂取しているからという話も納得できます。
もう少し具体的に昆布の栄養素についてご紹介すると、昆布特有のヌメヌメ感の基となる「アルギン酸」や「フコイダン」は糖質や脂肪の吸収を抑制しコレステロール値の上昇も抑える働きがあります。
多種なミネラル(カルシウム、鉄、ナトリウム、カリウム、ヨウ素)は骨を丈夫にし、体調を整え、免疫力を高める作用があります。
豊富な食物繊維は、摂取することでお腹の中が綺麗になり、腸内環境の改善が期待できます。
そして「うま味」の要素とされるグルタミン酸の効果で、薄い味付けでもおいしいと感じ自然に減塩することができます。またグルタミン酸は満腹中枢を刺激するため過食を予防することにもつながるのです。
なんと素晴らしい昆布!皆さん、今すぐに食べはじめましょう!!
素人でも楽しめる昆布の深い「うま味」!お勧めの北海道産商品
私が北海道でガイドをする中でいつもお勧めしている商品たちを紹介します。どの商品も昆布のうま味が最高ですよ!
とろろ昆布
私の好物とろろ昆布です。とろろ昆布は、正直スーパーの100円のものでも美味しいですが、このとろろ昆布は最高です。口に入れた時の風味、舌触りが全く違います。
お勧めの食べ方は炊き立てのご飯にのせて白ごまをのせる食べ方、もしくは沸騰したお湯を汁椀に用意し、このとろろ昆布をお好みの量だけ入れる食べ方。(濃い味好きな方は醤油を少々)
うまい!通常のとろろ昆布と比較すると高額ですが、十分に価値があります。私の家にはいつも1パックのストックがあります。
昆布のスナック
昆布の食べごたえが腹持ちを良くしヘルシーかつ体に良い成分が凝縮されているという最強のお菓子が昆布のスナックです。いろいろなメーカーから販売されていますが、私の好みはこちらの無添加北海道パリポリ昆布です。
ノースカラーズさんは昆布以外にも無添加&北海道商品に拘って販売しておりお勧めのメーカーです。
昆布のスナック2
北海道産の大豆と独自のたれで調味された北海道昆布がミックスされています。昆布と大豆の食感の違いが同時に楽しめる上、醤油味の香ばしさがたまりません。
利尻昆布ラーメン
利尻産の利尻昆布の旨みをしっかりと感じられる、私お勧めのインスタント麺をご紹介します。かなり美味しいので、いつもお客様に紹介しており自分でも購入し食べています。
昆布の顆粒だし
私の人生史上最強の顆粒出汁です。これら出汁で味噌汁をつくれば、素人でも間違いなくプロの味、しかも老舗料亭の味を表現できます。
これはやばい!絶対北海道を代表する商品だと思っており、いつも日本食が好きな外国人ゲストには強くお勧めしています。
北海道の昆布を是非ご賞味下さい
昆布についてかなり詳しく紹介させていただいたつもりです。私が外国人の方に昆布を説明する際に使うネタをほぼ全て書いたと思います。
今回の記事の内容の他に、出汁の取り方、昆布以外の海藻の話(わかめ、のり等)、鰹節の話を加えることもあります。
今度機会があれば鰹節についても書いてみようかと思います。
昆布は長い歴史、北海道のアイヌ民族が発祥という説、北海道の生産量が日本一で多くの北海道には多くのブランド昆布が育つということを理解いただけていれば幸いです。
そして昆布は健康に良いとされ、我々日本人の長寿の秘訣の一つです。是非、昆布を日頃から摂取するよう意識しましょう!
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